― 口サミシイ ―









その日、酔っ払った塔矢は俺のマンションに来るなり服を脱ぎ始めた。

かなり飲んだらしいというのは、午前二時という時間からも想像出来る。
塔矢は基本的に強い。だから長時間飲めば、摂取したアルコールも相当な量になる筈だ。
そのことをチクリと言うと、塔矢は唇を尖らせた。

既に半裸になっている。
でも俺が用意した下着の替えやパジャマには手も触れないところを見ると…
今からヤル気なのかな?

「お酒はいっぱい飲んだけど…何だか、口さみしいんだ…。」

「口さみしい」―――?
それってこういう時に使う言葉…なんかなあ…

とかなんとか思いながらも、俺は塔矢の尖った形のいい顎を人差し指で掬い上げるようにして俺の方を向かせた。

「口さみしい?へえ?…じゃあ俺の、舐める?好きなだけしゃぶっていいぜ〜。」
「うん…。」
「…は?」
「君の、欲しい…僕の口、に…。」

そして塔矢は半開きにした唇から、赤い舌を少しだけ突き出して見せた。

「ちょ、ちょっと待てって…っ…そういう意味で―――いいの?」
「そういう意味だよ…最初っから。…君の、舐めたかった…頬張りたかった…。」

ひーっ、マジ!?
お前、一体どこでそういうや〜らしい言い回し、覚えたんだよ?

慌ててる俺に構わず、塔矢は浅い呼吸を繰り返しながら俺のパジャマのズボンに手を掛けた。

「わぁ…君んちの石鹸の匂いがする…綺麗にしたんだな…体…。」

ズボンのゴムを伸ばすようにして、塔矢がウエスト部分から手を入れて来た。
塔矢にしては行儀の悪い、でも、見るものにとってはめちゃくちゃドキドキする卑猥な光景。
―――あの塔矢アキラが俺のズボンの中に手ェ、突っ込んでるんだぜ!

ズボンと下着を中途半端に下げれば、確かにそこから俺の体温に温められた石鹸の匂いが立ち昇った。
同時にプリンと飛び出したものを、塔矢はその手の平で受け止める。

「可愛いな、まだ…でもこれがすぐに大きくなるんだ…あっという間に…。」
「だだだだってしょうがないだろっ、若いんだから…触ってるの、お、お前なんだから…。」

ふふふ…と鼻で笑う塔矢は目尻がほんのり桜色に染まってて、ソッチこそ可愛いじゃんか!

―――大体、男の酔っ払いなんて最低なもんだ。
息は酒臭いし、目はトロ〜ンとしてシマリがないし、頬は真っ赤だし、呂律は回んないし。

だけど塔矢は違う。全然、違う。
いつもは引き締まった唇がちょっとだけだらしなく開かれて、その唇が俺のものを含む。
唇をすぼめる仕草がそのまま俺のものをしごく動作になり、絹糸のような黒髪が額や頬に汗で張り付くまで、顎が疲れて唾液を飲み込み切れなくなるまで、必死で上下させてくれる。

あああ…も、駄目!
想像するだけで頭、真っ白になる。
…声、あげそう。

気付けばベッド脇に腰掛けた俺の股間に視線を注ぎ、床に座り込んだ状態の塔矢がいる。

俺は自分から腰を浮かせて促し、塔矢に全部脱がせてもらった。
すると塔矢は俺のものを愛しげに包んだまま、そのグロテスクな先っちょを綺麗な鼻の頭で突っついて来た。

「あっ!…お、い…塔矢…そ、そういうのは…っう…。」
「くすぐったい?ついついしたくなった。まだ可愛いから。口でしたらすぐに大きくなって…僕の方が苦しくなる…。」
「フェラするのって…そんなに?キツイ?」
「ん…だって君の…大きい…。」
「え、え、ええっ…そっかな?俺のって、そこまで?」
「うん、大きいよ…歯を立てないようにするの、苦労するんだ…暴れないでって思うけど、君のは言うことなんかきかないから…お構いなしに、僕を苛める…。」
「おっ、お前―――誰かと比べてんの?誰と?おい、答えろよ!」

思わずカッとなって塔矢の髪を引いた。

アッ、シマッタ!…と思ったけど、もう遅い。
眉間にシワを寄せて仰け反った塔矢の、その白い咽喉が目の前にさらされる。

一気に感じた俺は、その咽喉を追い掛けるようにして股間を塔矢の首筋に押し当てた。
固くなり始めた俺のものが、生き物みたいに塔矢の肌を這い昇りながら膨らんで行くのが見えた。

塔矢の細い、しなやかな十本の指が俺のものに絡みつく。
うっとりとした視線まで、俺のものに絡みつく。

もうこれ以上、僕の口が待てないって、早くしゃぶりたいって泣いて強請っているから、と。
本当に泣きそうな声で囁かれたと思ったら、すぐに含まれた。

塔矢にしては、精一杯大きく開けたんだろう。
周りの茂みを少し含むように根元まで吸い付かれ、半勃ちだったものはそれでまた一気に育った。

「ああぁっ…スッゲ!…も、これだけで…イきそ…。」

塔矢の温かい舌が、俺のものに纏わりつく。
確かにマックスまで行ったのだろうとわかったのは、既に塔矢がどんなに深く飲み込もうとしても、根元までは含めなくなってしまったからだ。

「ナンだよ?もう、苦しいの?俺の、そんなにデカイんだ。お前がこんなことするからだろ?自分がワリイんだよ…淫乱なんだよ…口さみしいからって、俺のを思い出すお前がさ…。」

いくらでも際どい言葉で攻めたくなる。
当然、俺のをいっぱいに頬張っている塔矢は反論なんて出来ない。
俺の手も、もっとしっかり咥えろとばかりにその頭を抑えてしまっている。

だけど塔矢は抵抗する素振りも見せず、素直に口を使って俺を悦ばせ始めた。

「あっ、っく…お前まさか…夜は俺の、思い出したりして…口、無意識に動かしたりしてんじゃねえだろうな…俺のおっきくする練習とか、してんじゃ………この舌、悦過ぎんだよっ!」

乱暴に叫んだ瞬間、塔矢の口の中で弾けた。
射精のリズムに合わせて跳ね上がる腰とシンクロして、頭も大きく振れた。

それを宥めるみたいに俺は背を丸めて塔矢の背中に縋り付き、手は思いっきり何かを握り締めていた…

「どうしてわかったの?僕がいつも君のコレを思い出して、口さみしいって思ってること…だから舌がね、君の形を思い出してはそれに馴染むように…口の中で無意識にうごめいていることがある…。」

人に知られたらとってもとっても恥ずかしい行為だよな…息が止まりそうなくらい。
やっぱり僕は君の言うとおり、ひどく淫乱な男なのかもしれない…

俺のをギリギリまで飲み込んでくれた塔矢は涙目になりながらも、素直に告白して来る。

それがまたどこまでも俺を煽り、夜が明けるまで塔矢の細い体を軋せ続けた俺は、塔矢を悦ばせるためだったら俺自身がいつまでも大きく、固いままで、精が尽きなければいいのにと、馬鹿なことさえ願うのだった。











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